斜陽 [映画 le cinema]
太宰生誕100年である。「ヴィヨンの妻」は、エンターテイメント性を高めて作られており、非常に観やすい映画と思う。
太宰の代表作といってもいい、「斜陽」はどうだろうか。とても退廃的である。アート作品(映画)のようである。原作自体が退廃的であるから、といってしまえばそれまでだが、文字とセリフの混在とカメラワーク、音声の撮り方がさらにそうさせているのかもしれない。原作とは違って、現代的にアレンジされている。そこがヴィヨンの妻とは違っているところではあるが、その現代風のアレンジの何とも不安定さが、この映画の見所なのかもしれない。母の病名が結核からがんになるところはよいが、医師が突然がんと告知するところなんかは断片的である。そう、この映画は、断片の連続で成り立っている。断片と断片をつなぐのが、フェードアウトする映像であり、文字(言葉)なのだ。セリフは、他の映画に比べて少なく、音声も意図的であろうがクリアではなく、わざと反響された音である。映画という映像を見ていることをこちらに実感させる作り方なのだ。そして。90分前後である。たぶん、これ以上は観ていられない。詳しい展開は必要ないのだ。太宰の原作を知らなくとも、である。断片が断片をひきよせ、このような家族やその周辺は今や過去の存在だろう。
しかしながら、最後のあたりは早急すぎる気がする。そこが惜しいところである。太宰の原作の範疇から出ようとして出れずにもがいている、そんな印象も受ける。斜陽というとうの昔の話を現代風にした結果が、これなのかもしれない。たまには、映像作品としての映画を観たいなら、こういう映画もよいのかもしれない。
太宰の代表作といってもいい、「斜陽」はどうだろうか。とても退廃的である。アート作品(映画)のようである。原作自体が退廃的であるから、といってしまえばそれまでだが、文字とセリフの混在とカメラワーク、音声の撮り方がさらにそうさせているのかもしれない。原作とは違って、現代的にアレンジされている。そこがヴィヨンの妻とは違っているところではあるが、その現代風のアレンジの何とも不安定さが、この映画の見所なのかもしれない。母の病名が結核からがんになるところはよいが、医師が突然がんと告知するところなんかは断片的である。そう、この映画は、断片の連続で成り立っている。断片と断片をつなぐのが、フェードアウトする映像であり、文字(言葉)なのだ。セリフは、他の映画に比べて少なく、音声も意図的であろうがクリアではなく、わざと反響された音である。映画という映像を見ていることをこちらに実感させる作り方なのだ。そして。90分前後である。たぶん、これ以上は観ていられない。詳しい展開は必要ないのだ。太宰の原作を知らなくとも、である。断片が断片をひきよせ、このような家族やその周辺は今や過去の存在だろう。
しかしながら、最後のあたりは早急すぎる気がする。そこが惜しいところである。太宰の原作の範疇から出ようとして出れずにもがいている、そんな印象も受ける。斜陽というとうの昔の話を現代風にした結果が、これなのかもしれない。たまには、映像作品としての映画を観たいなら、こういう映画もよいのかもしれない。
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